38nd International Conference on Micro & Nano Engineering (MNE2012)が、9月16日から20日まで、フランス・トゥールーズのピエール バーディス コングレス センターで開催された。MNEはマイクロプロセス・ナノテクノロジーの国際学会として、日本のMN、米国EIPBNシンポジウムと共に最先端・最新研究が多く投稿される学会である。
今年の会議は15日時点で、参加登録数が597名(参加者が多い順にフランス:104名、ドイツ:83名、日本:82名)と発表があった。参加者数の点で言うと2年前に参加したMNE2010とそれほど減少していなかった。日本からは研究・販売拠点を有する日本の大手装置メーカからの参加者が数多く見受けられた。彼らの話によると、この学会をEUの顧客とのユーザミーテイングの場にしているとのことである。また、彼らによると、半導体産業での市場拡大が難しいので、センサ、バイオ分野への展開を模索しているとのことである。プログラムは、1.マイクロ・ナノリソグラフィ(127件)、2.マイクロ・ナノファブリケーション(215件)、3.マイクロ・ナノシステム・デバイス(118件)、4.バイオ・医学・化学用マイクロ・ナノファブリケーション(150件)の4つのカテゴリに分かれていた。(括弧の数字は提出されたアブストラクト数)。
MEMS・センサに関する発表としては、2010年のMNEではナノワイヤーを使ったガスセンサの製造プロセスに関するものが見られたが、今回は影を潜め、バイオセンサ、マイクロ流路に関する発表が主流であった。また、EB装置にMEMSを使うという発表が2件ほどあり、マルチビームをMEMSで制御するのかと期待したが、内容的にはMEMSプロセスを光学系の部品を作成したというものであった。リソグラフィに関しては、ナノインプリントの発表が大半を占めていた。これまでは、半導体デバイスの微細加工用途への期待もあり、300mm装置・プロセスの開発に関する発表が数多く見られたが、今回はそのような発表はなく、例えば大面積のフレキシブル基板(PETフィルム)にロールtoロールで100nm以下の3D構造を高速(1m/min)で作製するプロセスのように、有機半導体、TFT部材加工の発表が目立っていた。それ以外では、2光子励起によるマイクロ加工を300mmウエハで行う発表があった。まだ研究室で部品を集めてマルチビームシステムを作ったようなので、今後、そのような高速造形システムが装置化されて、低コストの加工プロセスとしてなりうるか注目していきたい。
我々のプロジェクトでもフレキシブル基板上に配線加工、機能集積化することが最終目標であることから、引き続き大面積の高速ナノインプリント技術、材料の開発動向の把握に努めていきたい。
(逆水登志夫@NMEMS技術研究機構)
MNE会場のピエールバーディス カンファレンスディナー会場の
コングレスセンター 「宇宙都市」を意味するシテ・ド・レスパス