2011年12月22日木曜日

MEMSと低炭素社会の一考察

-最小にして最大の効果を発揮するMEMS-
日本における最適な低炭素社会実現を目指すことを目的した「グリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクト」が7月にスタートして半年が過ぎました。
東日本大震災の影響で今年ほど電力消費を意識した年は、はじめてと思います。自宅、職場、駅、デパート、商店街、公園等ほとんどの場所が節電モードとなり、不足した電力を補いました。その結果、ものづくりのための生産力も落ちて景気も悪くなりました。最近は節電にも慣れて「適電」(適切な電力使用)なる造語も聞くようになりました。
そのような厳しい現実社会の営みのなかで、車、家電製品、ロボットをはじめ工場、スーパー等において、人間の目・耳・皮膚感覚の役割を担うMEMSセンサーの役割が期待されています。新しいMEMSセンサーの開発は、いろいろな場所や場面に応じてエネルギー消費量を計測し、その計測結果から最適な消費電力を導き家電製品をはじめとする諸設備に、センサーとコンピューターを組み合わせて効率かつ最大限の省エネルギー効果を発揮するシステムを目指しています。おそらく今年節電した分くらいは節電できるのではないかと期待しています。また、最近新聞等で賢い冷蔵庫や洗濯機、お掃除ロボットなどが紹介されている記事が散見されますが、その賢い部分はMEMSセンサーの働きがキーになっています。従って、既にスタートしていますバイオ・ナノテク技術を融合させた次世代型のMEMS製造技術開発プロジェクト(BEANSプロジェクト)やNMEMS技術研究機構の「グリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクト」(GSNプロジェクト)が成功し、開発製造されたMEMSが、省エネルギー実現に必要な最小にして最大の効果を発揮するはずです。
そして省エネルギー効果は当然少ない発電量で済むわけですから、石油などの化石燃料に頼らない低炭素社会実現に貢献できます。もちろんこれだけで低炭素社会が実現できるわけではなく、政府各府省及び日本のあらゆる研究機関、あらゆる研究者があらゆる方向からの省エネルギーに向けた対策並びに研究開発及び自然エネルギーを活用した発電技術等が成功して成就するものと思っています。
しかし心配がひとつあります。MEMSの力は省エネルギーに貢献すると同時に人間が直接行ってきた部分もMEMSによって自動化され、人間自身への省エネルギーも実現してしまい、この部分を良く考えておかないと、すべてMEMSにお任せ状態では人間の方が堕落してメタボになってしまうのではと心配です。このように新しいMEMSが出現したとき、どこまでMEMSの力に頼ったらいいのか憂慮しています。考えすぎでしょうか!!!??(研究支援部 町田 進)

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