2011年9月30日金曜日

GSNプロジェクトが日本を救う

  ~2011年度の前半を振り返っての呟き~


 9月30日で2011年度の前半(4~9月)が過ぎようとしています。前半を振り返ってみると3月11日に起きた東日本大震災・原発事故の影響をもろに受けて、政治・経済・エネルギー問題等で国民生活がたいへん厳しい現実にさらされてきたように思います。最近では追い打ちをかけるように猛暑と台風による水害等かって経験したことがないような大災害が次々と日本に襲いかかりました。このように2011年度前半は暗いニュースが多かったなかで、明るいニュースとしては7月13日に、技術研究組合NMEMS技術研究機構が設立され、GSNプロジェクト「グリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクト」が4年計画/年間約11億円(うち、3分の2は国/NEDO負担、3分の1は組合負担での共同研究)でスタートしたことでした。集中的にプロジェクトを推進するため、研究実施場所を産総研東事業所(つくば)内のNMEMSイノベーション棟4階にグリーンセンサネットワーク研究所を開所して、つくば研究センターとして集中的に研究を行ってゆくことになりました。他に東京工業大学内に大岡山研究センターを設けて、それぞれが車の両輪的な役割を果たしてプロジェクトを強力に推進する体制を整えました。
 プロジェクトの目的は、このブログを読まれるプロジェクト関係者の皆様には釈迦に説法と思いますが、要約すれば「通信機能や自立電源機能搭載の新しいMEMSセンサーの開発とMEMSセンサーによる環境計測やエネルギー消費量の計測を行い、日本における最適な低炭素社会実現を目指す」ことです。まさに資源の少ない日本にとって省エネルギー問題は最重要課題の一つであり、その解決策の一助となることが期待されています。GSNプロジェクトの関係者(組合員)は、言わば日本の省エネルギーに貢献する・貢献していると期待されている方々ばかりです。組合員間の利害関係も多々あろうかと思いますが、日本の国益になることを最優先に頑張っていただければ、GSNプロジェクトは大成功を収めること間違いなしと思います。頑張れGSNプロジェクト!救国のプロジェクトとなれ!と心密かに呟いています。(研究支援部 町田 進)



2011年9月1日木曜日

プロジェクトリーダーのご挨拶


プロジェクトリーダー 前田 龍太郎
グリーンセンサネットワーク研究所 所長
((独)産業技術総合研究所)
これまでエネルギー問題の解決のためには自然再生エネルギーの利用や、エネルギー効率の高い工業製品の開発が進められてきました。自動車や冷蔵庫をはじめとする個々の工業製品のエネルギー効率の向上に関しては大きく開発が進んでいます。ところが工場やビルといった大きなシステム全体のエネルギー運用を効率的に行う技術開発は必ずしも進んでいませんでした。新設の工場やビルならば少々高いセンサを配置してそれらを有線でつなげればいいのですが、既存の建物では設置が困難だからです。

そこで「グリーンセンサネットシステム」プロジェクトでは、近年開発が進んでいるMEMS製造技術を駆使して、コストが安くて、小さい無線センサ端末を開発し、建物や工場、オフィス環境等でのエネルギー消費の見える化と最適制御を行おうとするものです。プロジェクト計画の当初は近未来のエネルギー問題解決に先鞭をつける先進的なプロジェクトと考えられていました。

ところが2011年3月11日に、東日本を大震災が襲いました。発電施設、とりわけ原子力発電所にもたらしたダメージは大きく、それ以前と後の世の中の境界条件が大きく変わってしまいました。省エネグリーン化は近未来の問題ではなく、現在われわれの直面する待ったなしの課題となってしまいました。世界に先駆けてこの大きな課題を解決することは我が国に新たな産業競争力をあたえるものと信じています。