2012年3月22日木曜日

第59回応用物理学関係連合講演会参加 3/15-18

 有機太陽電池の研究動向について情報収集を行うため早稲田大学・早稲田キャンパスで開催された第59回応用物理学関係連合講演会に参加しました。

 特定テーマ「有機太陽電池」のセッションでは4日間にわたって低分子系有機薄膜型、色素増感型、高分子塗布型の各種有機太陽電池の作製、評価について計105件の発表講演が行われました。特に、先日10%を超える変換効率が報告された高分子塗布型に関する講演には300名以上の聴講者が参加しており関心の高さが伺われました。既知・新規の狭バンドギャップポリマーを用いた赤色光~近赤外光の利用による高効率化についての講演が注目を集めており、既存材料との組み合わせとタンデム化が今後の高効率化の大きな方針の1つとなっていることが見てとれました。また過渡吸収分光法等を用いた光電変換の物理についての講演からは、発電メカニズムに関する知見を得ることができ塗布型高分子太陽電池の高効率化について有益な情報を得ることが出来ました。

 大岡山研究センターからはナノファイバーを利用した光電変換素子への光取り込み効率向上に関する研究発表を行いました(「次元制御有機ナノ材料」セッション)。トップダウンプロセスで作製した光散乱ナノ材料による、光取り込み効率向上は注目を集め、多くの参加者から質問と有益なコメントを頂くことが出来ました。

(大岡山研究センター 坪井)


ポスター発表の様子
 

2012年3月14日水曜日

Leti訪問とMEMS2012参加@フランス

Leti訪問
Letiは、フランスのグルノーブルに本部を置く研究機関で、半導体やMEMSなどナノテク分野の研究を進めております。300mmウエハを用いた3D-集積化技術開発にも注力していて、NMEMSでも研究を進めている300mmウエハでの集積化技術をテーマに、技術交流を行いました。今回訪問では、3D-集積化チームのM. Scannell氏と、集積化技術に関する研究をお互いに紹介し、意見を交換しました。その後、300mm用クリーンルームを見学させて頂きました。Letiでの研究は半導体向けということで、NMEMSとはターゲットが異なりますが、その技術や設備は素晴らしく、集積化技術に関する有益な情報を得ることが出来ました。

MEMS2012
MEMS国際会議は、MEMSセンサ技術およびMEMS製造集積化技術を含めたMEMS関連技術に関する研究者が毎年集う世界的な会議です。グリーンセンサおよび端末集積化技術に関して、研究動向の調査と、研究への応用を目的として、フランスのパリで開催されたMEMS2012に参加しました。Power MEMSやBioをはじめ、様々な分野での報告が多数ありましたが、集積化技術に関しても興味深い報告がありました。ワシントン大学とインテルからの報告で、磁石で誘導してトレンチにキャパシタを埋め込む、Surface Mount Technology (SMT)の報告です。視認によるフィードバックが可能で、従来の半導体プロセスとも互換性があるので、コストおよび歩留まりの改善が期待されます(“WAFER-LEVEL HIGH DENSITY INTEGRATION OF SURFACE MOUNT TECHNOLOGY COMPONENTS IN THROUGH-SILICON TRENCHES," J. H. Hoo et al.)。SensorやFabricationのセッションでも、興味深い報告が多く、グリーンセンサ端末の集積化に関して、有益な情報を得ることが出来ました。

分散研 善見

2012年3月8日木曜日

MEMS2012参加およびLETI訪問

・MEMS2012参加
世界の産学およびメーカーによる最先端技術のMEMSセンサ・プロセス集積技術における新規技術・技術動向について情報収集を行なうため、フランス・パリで開催された世界最大規模の国際学会MEMS2012に参加しました。いくつかあるセッションの中で、小職が注目したセッション「RF
MEMS」、「Bio & Chemical Micro Systems」、「Nano & Materials」などです。高周波特性に優れたRF MEMSの発表内容、金属とポリマーのナノ複合体MEMSスイッチの発表、CNTの静電容量変化を利用したNMES技術の発表などが興味深いと感じ、また本プロジェクトの研究開発に有益な情報を得ることができました。                                                                                         

・LETI訪問
NMESと技術交流の促進および先端技術の動向把握のため、フランス・グルノーブルにあるLETIへ訪問し、LETEの組織体制、研究内容、出向元の企業紹介、NMEMSでの取組、グループディスカッション、クリーンルーム見学を行った。LETIの研究内容は、マイクロマシンのみならず、ナノテク・化学・生物学・光学など多岐にわたる新技術の開発及び商業化を加速するために、世界中の産業パートナーと密接な協力関係を築いていると感じました。
また同研究所の職員数は約1,000名以上を擁し、その他・200名近くの博士課程学生に研修を行ってたり、パートナー企業や研究所から200名の出向者を受け入れていて、フランスをあげての研究開発を積極的に行っている印象を受けました。LETIには、200mmと300mmのウエハーを投入できる11,000㎡のクリーンルーム、ラボなどを持ち、その規模は大きく、またマイクロマシン、ナノテクノロジーの測定評価など行える設備で、今後とも定期的に交流を続けていき、技術の研鑽をはかっていきたいと思っております。

つくば開発センター 本多祐仁

Leti訪問(フランス) MEMS2012

Leti(グルノーブル)で、S Fanget氏および G. Le Rhun氏と圧電MEMSに関しての意見交換を行い、そのあとクリーンルームの見学をさせていただきました。S Fanget氏および G. Le Rhun氏との意見交換では、本プロジェクトの研究開発項目①「グリーンMEMSセンサの開発」における塵埃センサに組み込む予定のトリガーセンサに使用する圧電MEMS技術に関して、大変有益な情報を得ることができました。

MEMS2012
MEMS関連技術の研究者が集うMEMSにおける世界最大かつ権威のある国際会議である本会議においてグリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクトに関連した研究や技術の情報収集を行い、今後の研究へ反映することを目的として、MEMS2012へ参加してきました。
気になった発表がいくつかありましたが、その中の一つは以下のような発表でした。
タイトル:A NOVEL ELECTROMECHANICAL INTERROGATION SCHEME FOR IMPLANTABLE PASSIVE TRANSPONDERS
発表者:A. Kim, T. Maleki, and B. Ziaie (Purdue University, USA)
内容:
機械的振動による発電と無線送信と2つの機能を持ったトランスポンダーの発表でした。デバイス構成は音響振動を電力に変換するためのPZTのカンチレバー、整流回路、蓄電用のキャパシタ、電磁誘導式圧力センサのコイルおよび無線送信用アンテナの両方の機能を持つコイル、PDMSのメンブレンに取り付けられたフェライトコア。動作はPZTのカンチレバーをスピーカーから流れる音楽によって振動させ、発電した電力をキャパシタに蓄電し、その電力を使って受信機に無線を送信する。この時、圧力の変化によってPDMSのメンブレンに取り付けられたフェライトコアとコイルの間隔が変調を受けて、インダクタンスが変化し、送信信号の周波数が変調されるというものでした。本講演は、センサー、エナジーハーベスト、および無線通信に関するものであり、本プロジェクトにおける研究開発のうち、特に研究開発項目①「グリーンMEMSセンサ」、②「無線通信機能及び自立電源機能を搭載したグリーンセンサ端末の開発」に関して有益な情報を得ることができる発表でした。

つくば研究センター 富松