2012年12月12日水曜日

Powermems2012 参加 その2

PowerMEMS2012に参加してきました。PowerMEMS(The international workshop on micro and nanotechnology for power generation and energy conversion applications)は、エナジーハーベスター、キャパシタ・インダクタ、燃料電池・電池などエネルギーシステムに関連するMEMS研究に特化した国際会議で、2000年に日本で発足し、12回目を迎える今年はアメリカのアトランタでの開催となりました。
今回はつくば研究センターにて行っているセンサ開発の成果報告と、最新の技術動向の調査を行うため、本会議に参加してきました。


私は、ポスター発表を行いましたが、多くの方に興味を持ってもらいたくさんの質問やコメントをいただきました。中でも多かったのは、「どれくらいの電力を発生させることができるのか?」という質問でした。
我々のデバイスは電力ではなく、得られる電圧が重要なので、そのことを説明するとみなさん「こういう使い方は面白いね。他にも応用できるそうだ。」とポジティブなコメントをくれました。

本会議では、エナジーハーベスターの発表がとても多かったのですが、エナジーハーベスターで生み出した電力を無駄なく利用するための技術が重要だと感じました。

ポスターの説明をする瓜生さん

バンケット会場
 つくば研究センター 富松

2012年12月4日火曜日

Powermems2012 参加

Powermems2012が12月2日から12月5日まで、アメリカ ジョージア州アトランタで開催
(残り2日)。本大会は圧電・発電素子に関する国際学会である。
 今年は、投稿数177件、採択138件(内訳 オーラル56件、ポスター82件)、
内NMEMSからは本日、私と富松君が各1件ポスター発表を行った。
2人のポスター報告は、かなり人だかりができるほど、色々な人に興味を持ってもらえた。
最大の要因は、ポスターが布で印刷されていたことである。
「これは持ち運びに便利だね!」「これはどうやったの?」
本当は外注したのだが、「私は印刷会社だからこんなことは簡単だ」と言っておいた。
話の機会にたっぷり私の拙い英語で、研究内容を説明し、しっかり分かってもらった。
興味を持って聞いてきた人は、先生方や学生が多かった。
圧電定数より耐電圧の方が重要だとか、次回検討しよう。

これにて私の海外における初の国際学会報告および卒業旅行は完了である。

以下旅のエピソード。。。。
<成田出国~アメリカ入国>
成田からアトランタまでの唯一の直行便であるデルタ航空を利用、利用者の内、
日本人は数%、アメリカ人や韓国人やメキシコ人などが多い。
私の席の隣もメキシコ人夫婦だった。
私の体が小さく見えるほど2人ともかなりダイナマイトボディーだった。
よくまあ、こんな小さい椅子に座れるものだと感心した。
この飛行機に前田先生も乗っているのだが、先生はビジネスクラス、
この時ばかりは、かなりうらやましく感じた。
出発から13時間、ちょっと眠り、最初から期待していない機内食を食べ、
映画を見るを3回繰り返した後にようやくアトランタ到着。
入国審査は、ほとんど時間がかからず、スムーズに完了、同飛行機に乗り合わせた
産総研の人たちと一緒にみんなでホテルへ行きました。
ちなみに我らが勇者トミーは、1人シカゴ経由のJALで行ったのだが、
案の定、入国審査に3時間以上かかり、乗り継ぎ飛行機に乗れず、次の便で到着、
レセプションの終わるころやってきた。
入国審査の際に10ブースあるのに3ブースしか開いていなかったとか、
さすがアメリカ、日曜日だけに公務員はルーズ。
トミー曰く、JALのスチュワーデスは美人だったとか、それは唯一の癒しだね。
デルタ航空は、おばあさんとおじいさんだったよ。。。(おわり)

                       宿泊ホテル 兼 開催会場



                            講演会場

                       大盛況だった布製ポスター       
                                       
         

                                          (NMEMS 瓜生)

2012年11月24日土曜日

ハワイのコンビニエンスストア調査

1115日(木)の午後8時前に成田を出発し、同日午前8時前にホノルル国際空港に到着。
ホテルに着いたのは、同日、午前9 時・・・・・・。ホテルはセブンイレブン指定で、アラモアナショッピングセンタのそば。チェックインをしたが、部屋が空いていないとのこと。セブン イレブンハワイに電話したところ、会議中で11時ごろ迎えに行くとのこと。どうすればいいの?冬の服装のまま、ホテルのレセプションの前で、服を脱ぎ、夏服に着替える。荷物を預けても、まだ1時間以上の時間が。仕方がないので、まず喫煙所を探し、一服。ホテルの前のショッピングモールを散策。
10:30 頃迎えが来る。そのまま、一店舗目に向かう。ハワイは交通渋滞がひどいので、帰りを考えて西側から始めるとのこと。ホノルル国際空港を通り過ぎて、一路西 に。最初のお店は、ハワイ店舗売り上げで第2位のお店だそうだ。生活保護をもらっている人が多く住む、治安が良くないマカハ地域。お店に入り、分電盤を。全然違う、日本と。あらかじめわかっていたけど。テスターを使って、線間の電圧をはかる。すべて、3相4線の分電盤と判明。“主幹”がない!エアコンや冷凍・冷蔵庫といった日本で取り付けているブレーカがない(-_-;)主幹は店の外の壁に。それを開けるには、すべての電源を落とさなければダメだということがわかる。エアコンや冷凍機の室外機は屋上にあり、そのそばにブレーカがあることが判明。脚立と梯子を使って屋上に。最初から、なんときつい労働を。


これが主幹ブレーカ??

エアコンのコンプレッサーとブレーカ
これが分電盤
分電盤をあけたところ。設備とブレーカの関係がよくわからない。

店内の様子。日本の違ってゆったりしてい
センサとバッテリー駆動の受信機を適当にセットして、2件目に向かう。お昼を食べている時間がないから、セブンイレブンのハワイで評判のおにぎりを買って、店の前で食べる。そこから東に向かい、各店舗に設置。結局目標の5店舗に届かず、4店舗で終了。2日目は、8時にホテルを出発とのこと。
2日目は、ダウンタウンから東のお店に設置。途中、サーフィンで有名な場所を通る。中級者以 上向きで、背骨や首を痛めることが多いとか。確かに、波は激しい。朝食は、セブンイレブンで、おすすめのサンドイッチを購入。移動途中で食べる。疲れが 残っているのか、センサ設置がいい加減になっている・・・・。昼食もセブンイレブン。人気のお寿司を、また車の中で食べる。どうにか、7店 舗を回り、午後3:00過ぎには終了。セブンイレブンハワイの事務所に入り、後片づけと、今後のスケジュール等について打ち合わせ。セブンイレブンハワイ のメンバーと懇親会があるので、このまま事務所にいるか?と聞かれたが、たばこを吸いたいので、ホテルに送ってもらう。懇親会のレストランにも自分で行く と言って、やっと一人に。ホテルに4時過ぎに着く。懇親会の会場まで、歩いて30分。眠ったら遅れそうなので、荷物を置いて、すぐ外にでる。アラモアナのショッピングモールを抜けて、海岸に。初めてのハワイの海岸。泳いでいる人もちらほら。海水に手をつけると、暖かい。気温は涼しいが、これなら泳げる。

サーフィンで有名な場所?ベローズ・フィールドビーチ

時間がないので、懇親会の会場に。会場は、地元の人が集まるバー。これは僕の希望。B級グルメが好きだからと言って、とってもらった。行っても誰も来ていない?予約をしているといっても、通じない(これは英語力の問題か?)。しかたがないので、カウンターに座って、一人でビールを飲み始める。バカヤロー・・・・・
懇親会に行く前に立ち寄ったアラモアナビーチ
写真右手前がセブンイレブンハワイのCEOのグレッグ。
そのうち、メンバーが集まり、懇親会が始まる。SEJハワイの社長の前で、何をしゃべればいいの?僕は、偉大な哲学者だ、とかアインシュタインの生まれ変わりだ、とか適当な話をして、時間を過ごす。来年の3月までに、産総研のメンバーがまた来る、とか適当なことを言って別れる。終わった~~~っ!データが取れているかどうか、うまく解析できるかどうか心配だが、考えないでおこう!!日本には日曜日の夕方4時過ぎに着く。賞味1.5日で、オアフ島の10店舗にセンサ100個以上、受信機30台を設置した。日本に着いたら、SEJハワイのCEOとセブンイレブンジャパンの役員から、非常に丁寧なお礼のメールが。そんなに期待されても、困るんですけど・・・・・
明らかになったのは、日本の見える化システムは、ガラパゴスだということ。今の2.4GHzじゃ、アメリカに対応できないね、確実に。

(つくばセンター交流研究員 藤本)

2012年11月6日火曜日

電気学会第29回センサシンポ 企画セッション「グリーンセンサ」でPJ成果を報告

北九州市のシンボル小倉城
第29回「センサ・マイクロマシンと応用システムシンポジウム(通称センサシンポ)」が、2012年10月22日から24日の日程で北九州国際会議場および西日本総合展示場で開催された。

24日午後に、企画セッション「グリーンセンサ」を開催した。6件の発表すべてを招待講演とし、うち4件をGSN-PJの報告とした。(他の2件もPJ参画の企業からの発表)。シンポジウムの最終日最後のセッションにもかかわらず100名近くの聴衆を集め、関心の高さが伺えた。本セッションでグリーンセンサの現状、およびGSN-PJの目的、狙い、解決手段は理解されたものと考えます。

6件の発表は以下の通り。

3D3-1  『現状のグリーンセンサ技術とMEMSへの期待』  
      積 知範  オムロン(株)
 
3D3-2  『業務用車輌の省燃費化を狙ったセンサと制御システム』
      大原淳士、加藤久弥、安部克則、高須賀直一、磯貝俊樹  (株)デンソー
 
3D3-3  『グリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクト』
      伊藤寿浩1,3、谷岡明彦2,3、前田龍太郎1,3
         1産業技術総合研究所、2東京工業大学、3NMEMS 技術研究機構
 
3D3-4  『グリーンセンサネットワークの実証「セブンイレブンの例」』
      藤本 淳1、古澤真吾2、鈴木章夫1
         1(独)産業技術総合研究所、2セブン-イレブン・ジャパン
 
3D3-5   『スマートオフィスに向けたグリーンセンサと空調技術』
      西野 淳、鈴木雅富、橋本 哲
      ダイキン工業(株)、NMEMS 技術研究機構
 
3D3-6   『グリーンセンサ用低消費電力アナログフロントエンド回路』
      藤森 司1,2、大島 俊1,2、後藤 康1,2、伊藤寿浩1,3、前田龍太郎1,3
        1NMEMS 技術研究機構、2(株)日立製作所、3(独)産業技術総合研究所

 
産総研伊藤先生のGSN発表

補足: 本会議は機械学会、応用物理学会などとの共催で、日本最大のセンサとマイクロマシンに関するシンポジウムであり、国際会議と比較してもそん色のない規模・内容の会議である(但し公式言語を英語としていないため、海外からの参加者はごくわずか)。本年は参加者が初めて600名を超えるなど、センサの重要性への認識がさらに深まってきたのではないかと考える。次回は仙台市で開催の予定。

NMEMS技術研究機構 今仲行一

2012年10月28日日曜日

MNE2012参加


 38nd International Conference on Micro & Nano Engineering (MNE2012)が、9月16日から20日まで、フランス・トゥールーズのピエール バーディス コングレス センターで開催された。MNEはマイクロプロセス・ナノテクノロジーの国際学会として、日本のMN、米国EIPBNシンポジウムと共に最先端・最新研究が多く投稿される学会である。

 今年の会議は15日時点で、参加登録数が597名(参加者が多い順にフランス:104名、ドイツ:83名、日本:82名)と発表があった。参加者数の点で言うと2年前に参加したMNE2010とそれほど減少していなかった。日本からは研究・販売拠点を有する日本の大手装置メーカからの参加者が数多く見受けられた。彼らの話によると、この学会をEUの顧客とのユーザミーテイングの場にしているとのことである。また、彼らによると、半導体産業での市場拡大が難しいので、センサ、バイオ分野への展開を模索しているとのことである。プログラムは、1.マイクロ・ナノリソグラフィ(127件)、2.マイクロ・ナノファブリケーション(215件)、3.マイクロ・ナノシステム・デバイス(118件)、4.バイオ・医学・化学用マイクロ・ナノファブリケーション(150件)の4つのカテゴリに分かれていた。(括弧の数字は提出されたアブストラクト数)。

 MEMS・センサに関する発表としては、2010年のMNEではナノワイヤーを使ったガスセンサの製造プロセスに関するものが見られたが、今回は影を潜め、バイオセンサ、マイクロ流路に関する発表が主流であった。また、EB装置にMEMSを使うという発表が2件ほどあり、マルチビームをMEMSで制御するのかと期待したが、内容的にはMEMSプロセスを光学系の部品を作成したというものであった。リソグラフィに関しては、ナノインプリントの発表が大半を占めていた。これまでは、半導体デバイスの微細加工用途への期待もあり、300mm装置・プロセスの開発に関する発表が数多く見られたが、今回はそのような発表はなく、例えば大面積のフレキシブル基板(PETフィルム)にロールtoロールで100nm以下の3D構造を高速(1m/min)で作製するプロセスのように、有機半導体、TFT部材加工の発表が目立っていた。それ以外では、2光子励起によるマイクロ加工を300mmウエハで行う発表があった。まだ研究室で部品を集めてマルチビームシステムを作ったようなので、今後、そのような高速造形システムが装置化されて、低コストの加工プロセスとしてなりうるか注目していきたい。

 我々のプロジェクトでもフレキシブル基板上に配線加工、機能集積化することが最終目標であることから、引き続き大面積の高速ナノインプリント技術、材料の開発動向の把握に努めていきたい。
 (逆水登志夫@NMEMS技術研究機構)


 

MNE会場のピエールバーディス  カンファレンスディナー会場の
 コングレスセンター     「宇宙都市」を意味するシテ・ド・レスパス      

2012年9月24日月曜日

Electronics Goes Green 2012+へ参加

 2012年9月9-12日ベルリンで開催されたElectronics Goes Green 2012+にて「スマートコンビニ」に関する研究成果を発表した。これは、電子・電気業界の「環境技術」に関する会議であり、2000年より4年に一度(オリンピックの開催年)行われている。Fraunhofer IZM主体となり、CARE(Comprehensive Approach for the Recycling and Eco-efficiency of Electronics) Innovation (これも4年に一度、サッカーワールドカップの年にウイーンで開催) 、IEEE ISSST(USA)およびEcoDesign (日本)と協力して会議を開催している。
 本年度は、従来とは場所を変え、ベルリンの南西部に位置するダーレムのSEMINALCAMPUS HOTELで開催された。保養所や別荘地が多い、のんびりした雰囲気の地域であった。
約200件の講演(ポスターも含む)と展示会が併設されていた。3日目の午前中に、「Power Monitoring using Wireless Sensor Nodes as an Effective Contribution to Power Saving in Convenience Stores」と題して25分の発表を行った。コンビニはヨーロッパではなじみが少ないので、マクロな知見、「「無線」と「省エネ」技術の普及には、「お手入れ型」研究手法が必要である」という点を主張しておいた。導入コストおよび経済的メリットに関する質問が多かったが、「お手入れ型」研究について関心をもったマスメディアもいた。
 この会議の特長は、「法規制」「リサイクル」および「電子・電気業界」の3つのキーワード で表される。エネルギー関連の講演数は最近増えているが、ITおよびデータセンタのグリーン化に集中する傾向が見られる。今回のプロジェクト関連では、「熱発電を用いた自立型無線センサによる機械の状態のモニタリング」の展示や発表(Fraunhofer IZM)が最も興味深かった。


ゴミで出来た「芸術?」
会場の中庭
NMEMS 藤本

2012年9月19日水曜日

EUROSENSORS2012参加

EUROSENSORSはMEMS分野のセンサに関する研究者が集うヨーロッパ随一の国際学会である。今回は9/10-12の3日間、ポーランドのクラクフで開催された。学会では300件ほどの研究成果が報告され、私も1件のポスター報告を担当した。私は今回、学会に参加する研究者に相談したい案件があったためポスター発表を行なった。2日目の午後に1時間30分間ほど時間をいただき延べ15人ほどの研究者と議論を交わした。結果、もちろん誰もやったことのないことをやっているので相談した案件に対する解決策の提示はないが、次の仮説を立て・検証を行なうために十分なヒントが得られた。

さらに、研究者との議論および研究報告の聴講で今後の検証の優先順を再設定することもできた。開発しているセンサの温度特性検証の優先度を上げるべきであることに気づいた。フィジカルセンサ等の場合、真空・窒素封止などで逃げるすべはあるかもしれないが環境雰囲気に暴露するガスセンサはそうはいかない。ガスセンサの開発を成功させるためには温度による特性の変化の補償は避けては通れない問題である。例えば、初日の午前の口頭発表ではSAW型ガスセンサの温度特性に関する報告があった。彼らはSAW型ガスセンサ(原理:フェーズシフト)により、H2のセンシングに成功したというすばらしい内容であったが、一方で特性変化に問題を抱えているようである。我々のセンサとは原理もターゲットガスもことなるが注目すべき発表である。

議論を交わした研究者のうち3名から、次の成果が出たら教えて欲しいとのメッセージと名刺をいただいた。期待していただいている研究者の気持ちにこたえるため、また一日でも早く工場の電力消費量低減に貢献できるように、今後も真摯に低消費電力コンパクトVOCセンサの開発に取り組みます。

NMEMSつくば 白石


学会会場:クラクフオペラ


2012年8月3日金曜日

第1回グリーンセンサ・ネットワークプロジェクト成果報告会開催

 本プロジェクトの第一回成果報告会(主催:(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)/技術研究組合NMEMS技術研究機構)が7月11日(水)に東京ビックサイト東2ホール内特設会場Bにて開催されました。

 オープニングでは、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術開発推進部久木田部長から主催者挨拶が行われ、センサ技術を核としてシステム化・実証して、世の中に見せていくことが重要と発言がありました。次に、本プロジェクトのプロジェクトリーダである産総研集積マイクロシステム研究センター前田センター長から「グリーンセンサ・ネットワークシステムプロジェクトの概要」と題して、プロジェクトの目標・体制・23年度成果概要、安心・安全ネットワークへの展開について紹介がありました。

 引き続いて、成果報告のセッションに入り、最初のセッションの省エネに寄与するグリーンセンサ・ネットワークシステムの構築と実証実験では、スマートコンビニ、スマートオフィス、およびスマートファクトリのためのネットワークシステムの開発、次のセッションの小型・低消費電力を実現するグリーンMEMSセンサの開発では、電流・磁界センサ、塵埃センサ、CO2センサ、VOCセンサ、および赤外線アレーセンサの開発、最後のセッションのグリーンMEMSセンサ端末・コンセントレータの開発では、自立電源、LSI、機能集積化、およびコンセントレータの開発の成果について各テーマの開発担当者から報告が行われました。

 200人ほどが入る会場がほぼ満席となり、発表を聞いてからNMEMSのブースに各テーマのパネル・展示物を見に来る来訪者も多く、成果発表会の成果詳細等を議論する場として、こちらも大いに盛り上がりを見せていました。今後も、省エネ革新的技術と期待される、本プロジェクトの研究成果を分かりやすく発信していきたいと思います。
(逆水@NMEMS技術研究機構) 

 




2012年6月28日木曜日

MIPE2012参加

MIPE2012(2012 ASME-ISPS / JSME-IIP Joint International Conference on Micromechatronics for Information and Precision Equipment)はマイクロメカトロニクス技術に関する研究者が集う日米機械学会合同の国際会議である。今回は6/18-20の3日間、アメリカのサンタクララ大学で開催された。会議では約140件のプレゼンテーションが行われ、私も1件のプレゼンを担当した。

 GSN-PJで私は、工場の電力消費量低減をターゲットとした低消費電力コンパクトVOCセンサの開発に取り組んでいる。今回のプレゼンは本PJと我々のテーマの目的の紹介および23年度の開発成果の報告である。本PJの研究者として始めての学会参加であり少々の不安があったが、うなずきながら聴いてくださる研究者も多く(学会中日の午後最初のプレゼンという利もあったが)我々の目指すものに賛同していただけたことが判った。我々のセンサの特徴はポリマーで作られている点である。研究者の技術的な興味はポリマーが振動式センサの材料として適用可能なのかという点であり質問にもそれが現れていたが、プレゼンおよび質問に対する回答を通してポリマーが振動式センサの材料として適用可能であることを伝えられた。

 一日でも早く工場の電力消費量低減に貢献できるように、また多くの研究者に興味をもっていただける開発成果を継続して出すために、今後も真摯に低消費電力コンパクトVOCセンサの開発に取り組みます。

NMEMSつくば 白石

サンタクララ大学

2012年5月9日水曜日

DTIP2012に出席して

DTIPSymposium on Design, Test, Integration & Packaging of MEMS/MOEMS)は、1999年のパリでの第1回開催から数えて14回目を迎えるが、IEEE CPMTが共催していることからもわかるように、もともとはMEMSの集積化・実装に力点を置いた国際シンポジウムであると理解している。今回は開催場所がカンヌ・コートダジュールということで、周辺からは「(本当は)何しに行くのか」と随分うらやましがられたし、参加を勧誘したドイツの知り合いからは「場所が良すぎるからと上司が出張を許可してくれない」という返事があった(おかげで彼の論文を代読すること破目になった)。しかし、出席してみると実際にはこの時期(開催は4月25-27日)のカンヌはある意味大変会議に向いた場所である。というのも、まず町がコンパクトでいわゆる観光スポットのようなところは皆無であり(黒沢明監督の手形くらいか?)、たとえ町をぶらぶらしても、ものの2~3時間もあれば事足りてしまうし、売りのビーチもまださすがに早い。というわけで南仏の太陽の下、缶詰状態で会議に参加したわけであるが、ここではMEMS国際会議(以下MEMS)と比較も交えながら、出張報告をしたいと思う。


規模で言えば、DTIPMEMSに比べ発表件数で1/4程度、出席者数では1/71/8であり、非常にコンパクトでアットホームな会議である。冒頭に述べたように、DTIPMEMSの集積化・実装に重きを置いた会議であることを考えれば、ある意味順当な規模とも言える。MEMSは採択率が30%以下という異常に人気の高い学会であるが、この低い採択率を勝ち抜くためには新奇かつ斬新なアイデアが必須であり、実装分野の研究やMEMSデバイス・加工技術が多くの技術要素の一つまたは一部であるような、GSNプロジェクトのようなシステム系の研究は旗色が悪い。そういう意味でいわゆる渋いテーマを扱うDTIPはある意味で貴重な存在である。ところで、MEMSの集積化・実装をめぐる議論は10年以上前から本質的には変わっていないと感じている。“実装はしばしば製造コストの大部分を占めることになりかねず”、それ故“実装はデバイス設計時から一緒に考えなければいけない”と言われているわけであるが、今回の招待講演で講演したスタンフォードのKenny教授をはじめ、何人かの著名なMEMS研究者が述べてきたように、「論文が書きにくい渋いテーマなので大学(や研究所)で研究テーマとして取り上げられない」こともあって、学会の議論としては堂々巡りの感がある。ただし、この会議に出席して、ここ5年でビジネスの世界では、この議論に終止符が打たれたのかもしれないとの認識をもった。主にコスト的な要因で「回路を一体的に形成するモノリシックMEMSはコンシューマー用途には向いておらず、回路は別につくり半導体実装技術で集積化するハイブリッドMEMSが現実的である」ので、「MEMSの実装技術は、いかに機械構造体を守る蓋を形成するかに絞られる」が、「多くの場合接合で蓋をするのは高コストであるので、モノリシック的に蓋を形成できるのが良い」ということのようである。もちろんこれはSi-MEMSの世界の話であるが、会議で比較的多くの発表があったポリマーMEMSやフレキシブル基板上のMEMSについても、実用化を考える以上、同様の考え方をすべきであろうが、半導体実装技術が適用できるかという観点での検討は未だ不十分との印象を持った。


GSNプロジェクトは、開発したMEMSデバイス(グリーンMEMSセンサ)の端末(ノード)への搭載、さらには端末を使ったネットワークシステムによる実証まで想定している以上、デバイスの開発段階で、ハード的にもソフト的にも“実装”を考慮せざるを得ないプロジェクトである。まさに、長年示唆されてきたように、デバイス設計段階で実装も検討しているわけである。会議に参加して様々な技術の話を勉強しながら、GSNプロジェクトは、新しいMEMSの(実装・集積化)研究としても、貴重かつ重要な取組みであると改めて確信できた。技術内容調査はもとより、そういう意味でも、実り多い調査であった。


(つくば研究センター長 伊藤 寿浩)

2012年4月18日水曜日

dMEMS2012参加報告

フランスのブザンソンで、開催されたdMEMS2012に参加してきました。
ワークショップの詳細はすでに報告されているので、気になった講演について報告します。

二日目のkeynote talkはMEMSのマーケットとMEMSのアプリケーションについての講演でした。
その中で、MEMSのホットはアプリケーションとしてセンサーネットワークの話が出ており、センサーネットワークの可能性、エネルギーハーベスティング、そしてマーケットについての話を聴き、本プロジェクトの重要性を再確認しました。また、その他の発表からも多くの有益な技術情報を得ることができました。


つくば研究センター 富松

2012年4月11日水曜日

dMEMS2012参加

 
 dMEMS2012(2nd Workshop on design, control and software implementation distributed MEMS)は、2010年に1回目が開催され、今年で2回目となる国際ワークショップです。
 
 フランスのブザンソンに7カ国の研究者が集い、2日間で3件の基調講演と13件の研究発表が行われました。今回の採択率は55%で、主に設計理論に関する発表が多く見られました。
 
 基調講演では、EPFLのAdrian M. Ionescu氏が“Guardian Angels for a Smarter Life ~Zero-Power Technologies~”と題し、環境・健康などをターゲットにしたヨーロッパでのデバイス・センサネットワーク開発プロジェクトの取り組みが紹介されました。まさにヨーロッパ版NMEMSであり、大きな刺激を受けることが出来ました。また、その他の発表からも多くの有益な技術情報を得ることができました。
(分散研 植木真治)
 
 
会場となったFort Griffon

 

2012年4月6日金曜日

GSN-PJ2年目にあたり

昨2011年7月にスタートしました「NEDOグリーンセンサーネットワーク技術開発」PJも2年目に入りました。この間、東光電気(株)、東京電力(株)の2社がメンバーに加わり、16企業、および(国)東京工業大学、(独)産業技術総合研究所、(財)マイクロマシンセンターの3機関よりなる、計19機関の参画する、省エネに寄与するセンサーから、ネットワークシステムまで、名実ともに最大規模の国家プロジェクトとなってまいりました。
  本年7月にはマイクロマシン展(7月11-13日東京ビッグサイト)において一年間の成果を世に問います。ご期待ください。
  電力供給の課題から、4年プロジェクトとはいえ、一日もはやい本センサーネットワークの実現が期待されています。NEDOと連携しながら、加速策を考えつつ、ビジネスに繋いでいきたいと考えます。  今後ともご支援をお願いいたします。

(NMEMS技術研究機構 今仲)

2012年3月22日木曜日

第59回応用物理学関係連合講演会参加 3/15-18

 有機太陽電池の研究動向について情報収集を行うため早稲田大学・早稲田キャンパスで開催された第59回応用物理学関係連合講演会に参加しました。

 特定テーマ「有機太陽電池」のセッションでは4日間にわたって低分子系有機薄膜型、色素増感型、高分子塗布型の各種有機太陽電池の作製、評価について計105件の発表講演が行われました。特に、先日10%を超える変換効率が報告された高分子塗布型に関する講演には300名以上の聴講者が参加しており関心の高さが伺われました。既知・新規の狭バンドギャップポリマーを用いた赤色光~近赤外光の利用による高効率化についての講演が注目を集めており、既存材料との組み合わせとタンデム化が今後の高効率化の大きな方針の1つとなっていることが見てとれました。また過渡吸収分光法等を用いた光電変換の物理についての講演からは、発電メカニズムに関する知見を得ることができ塗布型高分子太陽電池の高効率化について有益な情報を得ることが出来ました。

 大岡山研究センターからはナノファイバーを利用した光電変換素子への光取り込み効率向上に関する研究発表を行いました(「次元制御有機ナノ材料」セッション)。トップダウンプロセスで作製した光散乱ナノ材料による、光取り込み効率向上は注目を集め、多くの参加者から質問と有益なコメントを頂くことが出来ました。

(大岡山研究センター 坪井)


ポスター発表の様子
 

2012年3月14日水曜日

Leti訪問とMEMS2012参加@フランス

Leti訪問
Letiは、フランスのグルノーブルに本部を置く研究機関で、半導体やMEMSなどナノテク分野の研究を進めております。300mmウエハを用いた3D-集積化技術開発にも注力していて、NMEMSでも研究を進めている300mmウエハでの集積化技術をテーマに、技術交流を行いました。今回訪問では、3D-集積化チームのM. Scannell氏と、集積化技術に関する研究をお互いに紹介し、意見を交換しました。その後、300mm用クリーンルームを見学させて頂きました。Letiでの研究は半導体向けということで、NMEMSとはターゲットが異なりますが、その技術や設備は素晴らしく、集積化技術に関する有益な情報を得ることが出来ました。

MEMS2012
MEMS国際会議は、MEMSセンサ技術およびMEMS製造集積化技術を含めたMEMS関連技術に関する研究者が毎年集う世界的な会議です。グリーンセンサおよび端末集積化技術に関して、研究動向の調査と、研究への応用を目的として、フランスのパリで開催されたMEMS2012に参加しました。Power MEMSやBioをはじめ、様々な分野での報告が多数ありましたが、集積化技術に関しても興味深い報告がありました。ワシントン大学とインテルからの報告で、磁石で誘導してトレンチにキャパシタを埋め込む、Surface Mount Technology (SMT)の報告です。視認によるフィードバックが可能で、従来の半導体プロセスとも互換性があるので、コストおよび歩留まりの改善が期待されます(“WAFER-LEVEL HIGH DENSITY INTEGRATION OF SURFACE MOUNT TECHNOLOGY COMPONENTS IN THROUGH-SILICON TRENCHES," J. H. Hoo et al.)。SensorやFabricationのセッションでも、興味深い報告が多く、グリーンセンサ端末の集積化に関して、有益な情報を得ることが出来ました。

分散研 善見

2012年3月8日木曜日

MEMS2012参加およびLETI訪問

・MEMS2012参加
世界の産学およびメーカーによる最先端技術のMEMSセンサ・プロセス集積技術における新規技術・技術動向について情報収集を行なうため、フランス・パリで開催された世界最大規模の国際学会MEMS2012に参加しました。いくつかあるセッションの中で、小職が注目したセッション「RF
MEMS」、「Bio & Chemical Micro Systems」、「Nano & Materials」などです。高周波特性に優れたRF MEMSの発表内容、金属とポリマーのナノ複合体MEMSスイッチの発表、CNTの静電容量変化を利用したNMES技術の発表などが興味深いと感じ、また本プロジェクトの研究開発に有益な情報を得ることができました。                                                                                         

・LETI訪問
NMESと技術交流の促進および先端技術の動向把握のため、フランス・グルノーブルにあるLETIへ訪問し、LETEの組織体制、研究内容、出向元の企業紹介、NMEMSでの取組、グループディスカッション、クリーンルーム見学を行った。LETIの研究内容は、マイクロマシンのみならず、ナノテク・化学・生物学・光学など多岐にわたる新技術の開発及び商業化を加速するために、世界中の産業パートナーと密接な協力関係を築いていると感じました。
また同研究所の職員数は約1,000名以上を擁し、その他・200名近くの博士課程学生に研修を行ってたり、パートナー企業や研究所から200名の出向者を受け入れていて、フランスをあげての研究開発を積極的に行っている印象を受けました。LETIには、200mmと300mmのウエハーを投入できる11,000㎡のクリーンルーム、ラボなどを持ち、その規模は大きく、またマイクロマシン、ナノテクノロジーの測定評価など行える設備で、今後とも定期的に交流を続けていき、技術の研鑽をはかっていきたいと思っております。

つくば開発センター 本多祐仁

Leti訪問(フランス) MEMS2012

Leti(グルノーブル)で、S Fanget氏および G. Le Rhun氏と圧電MEMSに関しての意見交換を行い、そのあとクリーンルームの見学をさせていただきました。S Fanget氏および G. Le Rhun氏との意見交換では、本プロジェクトの研究開発項目①「グリーンMEMSセンサの開発」における塵埃センサに組み込む予定のトリガーセンサに使用する圧電MEMS技術に関して、大変有益な情報を得ることができました。

MEMS2012
MEMS関連技術の研究者が集うMEMSにおける世界最大かつ権威のある国際会議である本会議においてグリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクトに関連した研究や技術の情報収集を行い、今後の研究へ反映することを目的として、MEMS2012へ参加してきました。
気になった発表がいくつかありましたが、その中の一つは以下のような発表でした。
タイトル:A NOVEL ELECTROMECHANICAL INTERROGATION SCHEME FOR IMPLANTABLE PASSIVE TRANSPONDERS
発表者:A. Kim, T. Maleki, and B. Ziaie (Purdue University, USA)
内容:
機械的振動による発電と無線送信と2つの機能を持ったトランスポンダーの発表でした。デバイス構成は音響振動を電力に変換するためのPZTのカンチレバー、整流回路、蓄電用のキャパシタ、電磁誘導式圧力センサのコイルおよび無線送信用アンテナの両方の機能を持つコイル、PDMSのメンブレンに取り付けられたフェライトコア。動作はPZTのカンチレバーをスピーカーから流れる音楽によって振動させ、発電した電力をキャパシタに蓄電し、その電力を使って受信機に無線を送信する。この時、圧力の変化によってPDMSのメンブレンに取り付けられたフェライトコアとコイルの間隔が変調を受けて、インダクタンスが変化し、送信信号の周波数が変調されるというものでした。本講演は、センサー、エナジーハーベスト、および無線通信に関するものであり、本プロジェクトにおける研究開発のうち、特に研究開発項目①「グリーンMEMSセンサ」、②「無線通信機能及び自立電源機能を搭載したグリーンセンサ端末の開発」に関して有益な情報を得ることができる発表でした。

つくば研究センター 富松

2012年2月29日水曜日

MEMS2012(Jan.30-Feb.2,2012
パリ)

◆MEMS2012
MEMS国際会議は、MEMSセンサ技術およびMEMS製造集積化技術を含めたMEMS関連技術に関する研究者が毎年集う世界的な会議であり、MEMS分野では最も権威とクオリティが高い国際会議と言われている。本会議において、グリーンMEMSセンサ、グリーンセンサ端末技術関連の情報収集を行った。

センサネットワーク関連では、MEMS技術を用いた自立電源(Power MEMS)に関するもの(例えばも相当数あり、非接触電流センサ(A
FLEXIBLE, NON-INTRUSIVE POWER SENSOR TAG FOR THE ELECTRICITY MONITIORING OF
TWO-WIRE HOUSEHOLD APPLIANCES,台湾精華大学とITRIのグループ)やガスセンサに関する発表、あるいは10種のセンシング機能を1チップに集積化したもの(MULTI-FUNCTIONAL INTEGRATED SENSORS FOR THE ENVIRONMENT,米スタンフォード大とヒューレッドパッカードのグループ)もあり、全体的には特にポスターセッションにおいて、グリーンMEMSセンサおよびグリーンセンサ端末用自立電源に関し、有益な情報を得ることができた。
(つくば研究センター長 伊藤 寿浩)

2012年1月25日水曜日

伊藤寿浩つくば研究センター長、東工大大学院講義でグリーンセンサ・ネットワークシステムを紹介


 1月24日(火)に本プロジェクトの伊藤寿浩つくば研究センター長が東京工業大学の大学院講義『ナノファイバーイノベーション創出』においてユビキタスセンサネットワークと大面積デバイス製造技術開発に関する集中講義を行いました。本講義は主に材料系の大学院生を対象としていますが一般にも公開されています。

 講義では、MEMSセンサを利用したユビキタスセンサネットワークに関する説明が行われました。用途展開の例として、アニマルウォッチセンサの開発やエネルギー消費の見える化による省エネ技術として期待されるグリーンセンサ・ネットワークシステムの開発が紹介されました。センサネットワークに加えて、大面積デバイス製造技術に関する説明も行われました。参加者からは繊維状基材の連続微細加工技術に高い関心が寄せられました。
(大岡山センター研究員 坪井 一真)
 
 
講義の様子

グリーンセンサ・ネットワークシステムについて説明を行う伊藤センター長