2012年9月24日月曜日

Electronics Goes Green 2012+へ参加

 2012年9月9-12日ベルリンで開催されたElectronics Goes Green 2012+にて「スマートコンビニ」に関する研究成果を発表した。これは、電子・電気業界の「環境技術」に関する会議であり、2000年より4年に一度(オリンピックの開催年)行われている。Fraunhofer IZM主体となり、CARE(Comprehensive Approach for the Recycling and Eco-efficiency of Electronics) Innovation (これも4年に一度、サッカーワールドカップの年にウイーンで開催) 、IEEE ISSST(USA)およびEcoDesign (日本)と協力して会議を開催している。
 本年度は、従来とは場所を変え、ベルリンの南西部に位置するダーレムのSEMINALCAMPUS HOTELで開催された。保養所や別荘地が多い、のんびりした雰囲気の地域であった。
約200件の講演(ポスターも含む)と展示会が併設されていた。3日目の午前中に、「Power Monitoring using Wireless Sensor Nodes as an Effective Contribution to Power Saving in Convenience Stores」と題して25分の発表を行った。コンビニはヨーロッパではなじみが少ないので、マクロな知見、「「無線」と「省エネ」技術の普及には、「お手入れ型」研究手法が必要である」という点を主張しておいた。導入コストおよび経済的メリットに関する質問が多かったが、「お手入れ型」研究について関心をもったマスメディアもいた。
 この会議の特長は、「法規制」「リサイクル」および「電子・電気業界」の3つのキーワード で表される。エネルギー関連の講演数は最近増えているが、ITおよびデータセンタのグリーン化に集中する傾向が見られる。今回のプロジェクト関連では、「熱発電を用いた自立型無線センサによる機械の状態のモニタリング」の展示や発表(Fraunhofer IZM)が最も興味深かった。


ゴミで出来た「芸術?」
会場の中庭
NMEMS 藤本

2012年9月19日水曜日

EUROSENSORS2012参加

EUROSENSORSはMEMS分野のセンサに関する研究者が集うヨーロッパ随一の国際学会である。今回は9/10-12の3日間、ポーランドのクラクフで開催された。学会では300件ほどの研究成果が報告され、私も1件のポスター報告を担当した。私は今回、学会に参加する研究者に相談したい案件があったためポスター発表を行なった。2日目の午後に1時間30分間ほど時間をいただき延べ15人ほどの研究者と議論を交わした。結果、もちろん誰もやったことのないことをやっているので相談した案件に対する解決策の提示はないが、次の仮説を立て・検証を行なうために十分なヒントが得られた。

さらに、研究者との議論および研究報告の聴講で今後の検証の優先順を再設定することもできた。開発しているセンサの温度特性検証の優先度を上げるべきであることに気づいた。フィジカルセンサ等の場合、真空・窒素封止などで逃げるすべはあるかもしれないが環境雰囲気に暴露するガスセンサはそうはいかない。ガスセンサの開発を成功させるためには温度による特性の変化の補償は避けては通れない問題である。例えば、初日の午前の口頭発表ではSAW型ガスセンサの温度特性に関する報告があった。彼らはSAW型ガスセンサ(原理:フェーズシフト)により、H2のセンシングに成功したというすばらしい内容であったが、一方で特性変化に問題を抱えているようである。我々のセンサとは原理もターゲットガスもことなるが注目すべき発表である。

議論を交わした研究者のうち3名から、次の成果が出たら教えて欲しいとのメッセージと名刺をいただいた。期待していただいている研究者の気持ちにこたえるため、また一日でも早く工場の電力消費量低減に貢献できるように、今後も真摯に低消費電力コンパクトVOCセンサの開発に取り組みます。

NMEMSつくば 白石


学会会場:クラクフオペラ