グリーンセンサ・ネットワークシステム技術開発プロジェクトの関連技術の研究動向を調査するため、国際学会PowerMEMS2011へ参加してきましたので報告いたします。
PowerMEMS2011は、年1回開催の、パワーMEMS分野の国際学会であり、今年は11/16~18の3日間、韓国のソウルでの開催でした。
(1)学会の発表分野
基調講演1件、招待講演4件、口頭発表48件、ポスター発表70件が行われました。
全投稿に対する採択率は90.1%とのことです。
投稿者数の地域別内訳は、アジアが44.3%、ヨーロッパが38.9%、アメリカが16%、アフリカが0.8%となっており、世界中のパワーMEMS分野の研究者が集まり、活発な議論が行われました。
基調講演と招待講演を除いた、口頭発表の内訳は、
・環境発電技術…7セッション(28件)
・燃料電池等の化学反応応用技術…2セッション(8件)
・MEMSタービン等、システム化技術等、熱マネジメント技術等…各1セッション(12件)
となっており、近年の環境発電分野への注目を反映してか、環境発電技術分野に対し、非常に多数の発表が集中しています。
(2)技術調査
本プロジェクトと関連深い研究分野である、環境発電技術のセッションを中心に聴講してきました。
全体として、圧電薄膜としてPZTを用いた振動発電技術の発表が多数を占めていましたが、なかなか発電量を増やすことは難しく、非常に研究し甲斐のある技術分野となっていることが伺えました。
そのような中、印象に残った発表が2つあります。
1つ目は、ドイツのLaboratory for Design of Microsystems, Department of Microsystems Engineering (IMTEK)のPeter Woias教授の発表です。電車の振動で発電して無線送信を行う端末を開発し、実際に線路に設置して無線送信した結果の発表です。発電素子に対する工夫と併せて、蓄電・エネルギーマネジメントするシステム技術を開発することで、発電量が比較的少なくとも、早期に実用化に近づけることができる、という発表内容は、強く印象に残りました。
2つ目は、京都大学/小寺研究室の方の発表で、振動発電用の圧電薄膜として、鉛を含むPZTに代わり得る材料として、(K,Na)NbO3が提案されました。実際に(K,Na)NbO3を使って振動発電素子を作製し、PZTとほぼ同等の発電性能が得られた、という発表です。これまで、PZTと同等性能を有する代替材料が存在しなかったため、有鉛で環境に対する懸念のあるPZTが広く使われてきた分野ですが、ブレークスルーと成り得る可能性を感じました。
つくば研究センター 藤森
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